Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
Submitted by Chiharu Hisaichi, indevidual
Commenting as an individual

ICRP新勧告(案)のパブコメをするにあたり、市民団体8団体による仮訳54ページが掲載され、読むことができました。まずは、仮訳を抜粋したものについて述べ、最後にまとめの意見を述べる。

2.1.原子力事故対応のための時間区分
復旧プロセスを現存被ばく状況・「現存被ばく状況1〜20mSvを採用」
→現存被ばく状況1msvとするべきである。状況に名前をつけたとしても、人々は段階的被ばくを強いられるものではない。

2.2.大規模原子力事故の影響
放射線防護の考慮だけでは管理できない心理学、健康、環境、教育、文化、倫理、政治的統治などに関する要素も考慮する必要がある
→その通りである

2.2.3.社会的影響
26)人間の生活環境において、望ましくない、不法な、そして危険であると認識された放射能汚染の突然の存在は、前例のない複雑な状況を作り出す。すなわち、多くの疑問・懸念・恐怖を引き起こす、さまざまな意見を生成させる、紛争を悪化させる、といった状況であり、それは、個人の幸福と影響を受けたコミュニティの生活の質をひどく混乱させる。許可された時点で被災地に留まることを選択する住民もいれば、離れる住民もいるだろう。避難者の中には、 帰還する者もいれば、移住する者もいる。これは、チェルノブイリや福島で例示されているように、住民、特に若者の数の著しい減少とともに、地域社会の生活や人口統計に大きな影響を与える可能性がある
→その通りである。原発事故は2度とあってはならいものだということを基本に考えて欲しい。

(36)これらの研究は、事故の緊急対応および回復過程に関連する社会心理学的および心身症を強調する。これは、福島で起こったような外部の壊滅的な事象が状況に寄与した場合にはさらに複雑である。例えば、災害現場に直接遭遇した緊急時対応者(responder)の間では、抑うつや心的外傷後ストレス障害の発生率が上昇していることが報告されており、彼らの生命に対する脅威を誘発する可能性がある。また、日常生活において微量であっても放射能汚染に直面している人や、将来の見通しが明確でない劣悪な生活環境に直面している避難者は、不安・ストレス・抑うつに陥りやすいという研究結果もある
→ゆえに、低線量被ばくを軽視してはいけない。チェルノブイリの時は、健康でない子ども達が増えたという結果もある。被ばくは微量だからと強要させられるものではない。

(38)心理学的なレベルでは、個人の反応はその人自身の状況や経験に大きく依存しており、時間の経過とともに変化することがあることも経験からわかっている。うつ病に苦しむ人もいれば、その状況にあきらめて最終的には無関心の態度をとる人もいるだろうし、自分自身や他人のために状況を改善するための行動に反応したり関与したりする人もいるだろう。原発事故の心理的影響は、長期にわたって被災者に影響を与え続ける可能性がある。2.2.6.生活習慣の変化が健康に及ぼす影響(39)上述のように、放射線による健康への影響に加えて、事故は被災集団の日常生活に重大な社会的、経済的、心理的混乱を引き起こす可能性がある。
→その通りである。

(40)例えば、福島原発事故後の数か月間に、死亡率の全般的な増加(地震・津波による死亡を除く)が、特に高齢者の間で観察された(Morita et al.,2017)。この増加は、事故の直接的な結果ではあるが、放射線の直接的な健康影響に起因するものではない。
→因果関係を否定するべきではない。事故による可能性もある。

41)長期的には、他の二次的な健康問題が、チェルノブイリ事故の影響を受けた集団で観察された(Luccioni,2016)。福島事故後、糖尿病の報告症例数が著しく増加し、特に約40歳から65歳の人々で顕著であった。この増加は、汚染地域内外の事故の影響を受けた人々に懸念を与える。さらに、循環器疾患のリスク増加が認められた(Tsubokura,2018)。事故後の最初の数年間には、高脂血症や高血圧などの他の慢性疾患も報告されている。幼児の健康にも影響があり、屋外活動の制限による肥満の有意な増加があった(Nomura,2016;Ono,2017)。被災集団の曝露レベルを考慮すると、これらの障害は、放射線による直接的な健康影響とは考えられず、事故による生活様式の変化と関連している
→因果関係というのは分からないのに、事故による放射線の影響ではないと位置づけるのは間違いである。こうすることにより、被害が見えにくくなる。

3.2.1.被ばく経路
92)偶発的な大気放出の場合、プルームに存在する短寿命の放射性物質の吸入により、初期被ばくは比較的高いレベルになる可能性が高い。
→内部被ばくをもっと考えるべきである

103)中期段階では、ホールボディカウンタを使用して、オンサイトおよびオフサイトの罹患者が吸入または摂取した汚染を測定することができる。これにより、内部被ばくの評価が可能となり、特に注目に値する経路 (主に食品) の特定に役立つ
→日本でのホールボディカウンタは下限値が高いので、これで大きな被ばくがないとされた人は、内部被ばくをしていても、被ばくしていないと判断される事もある

3.4.1.3.ヨウ素による甲状腺ブロック
(131)利用可能な時間が短いため、特に大規模な集団を対象とする場合には、安定ヨウ素の配布が実際的な問題となる可能性がある。したがって、国の当局は、影響を受ける可能性のある集団が安定ヨウ素を確実に入手できるようにするための最も効果的な方法(事前配布を含む) について、慎重に検討する必要がある。
→安定ヨウ素剤の服用の仕方など知らないままで、事故が起きてからでは遅すぎた。
原発のある国は、いつでも同じような事故が起こる可能性がある。廃炉にしたとしても、それまでの間にも事故は起こるかもしれない。防護するためには、安定ヨウ素剤の配布、使用について、平時に国民全体に知らせるべきであり、配布しておくべきだと考える

(138)中間期では、季節、放射性核種、環境特性などに依存して、食糧生産とその進展の放射線学的特徴により、一層詳細で適応した食糧管理戦略を決めることが可能になるだろう。そのためには、地域社会全体の生活への影響(例えば農業、文化、イメージ、社会的、経済的配慮)を把握することも必要である。当局が全体的な状況を比較的よく理解できるように特性化が十分に進められたならば、委員会は、食品中の放射性核種の直接測定可能なレベル(Bq/kgまたはBq/Lで表される)に基づいて放射線基準を設定すべきであると勧告する。
→設定値について、内部被ばくしないよう細心の注意をはかるべきである。

(158)委員会は 、避難者が帰還する前に、避難者の健康と福祉のニーズに対応できる機能的な物理的インフラが利用可能であるべきであると勧告する。これが実施されると、個人は帰還するかどうかを決定する基本的な権利を持つことになる。被災地にとどまるか離れるかについてのすべての決定は、当局によって尊重され、支援されるべきであり、また、自宅に戻ることを望まないか許可されていない人々の再定住のための戦略が策定されるべきである
→その通りである。避難することも避難しない事も、帰還する事も、どれもが尊重されるべきである。避難者においては、国連の「国内強制移動に関する指導原則」を重視すべきである。
日本政府は避難者への支援は打ち切り、避難者の存在を無くし、事故は収束したという形を作ろうとしている。

(185)除染による 放射性廃棄物の発生は、利用可能な処分経路や可能な代替案を考慮して、慎重に検討されるべきである。
→利用可能を優先に考えるべきではない。防護することを1番に考えるべきである。
半減期が100年あるなら、少なくとも100年は利用するべきではない。

(200)初期の医学的評価、線量評価、必要に応じた医学的治療、健康状態の追跡調査、住民の社会的および心理的状態に関する質問、および適切な支援の開発を含む、被ばく集団の専用の健康調査プログラムを策定すべきである。このプログラムの主な目標は、影響を受ける可能性のある人々の健康と生活条件を特徴づけ、改善することである。その実施には、健康調査、健康データベース、および情報提供と健康支援へのアクセスを提供するメカニズムの開発が必要である
→初期からずっと調査をすることは必要である。日本政府は健康調査をやめようとしている。長期にわたり調査することは、必要である。そして、人々への健康被害に対し、因果関係を否定したとしても、健康でない人が増えたならば、ウクライナのように保養庁を作るなど、健康支援することを考えなければならない。

●まとめ
本勧告は、大規模な原子力事故の場合の人および環境の防護に焦点を当てている。
原子力事故が起きた日本からの発信は大事だと考える。
日本政府は、世界に向けて原発事故はアンダーコントロールしているというパフォーマンスを広げている。
この勧告案にあるような避難する人への支援策を本気で考えてはおらず、行政が避難者へ住宅の追い出し裁判までしているのが現実である。
日本政府は、全ての面において、調べない、教えないのである。
そして、日本政府は、避難者のことを、避難していない住民の心情を害し、国土に対する不当な評価をする行為と位置付けた。人々の分断までするのである。
原発事故を起こせば、沢山の社会的、経済的、心理的被害は計り知れない。
原発事故はあってはならない。
無用な被ばくを強要されるのは、個人の尊重を無視している行為である。
国際人権法も重視すべきである。
この勧告が人、および環境への防護をするための勧告であるならば、原発を廃炉にすることを盛り込んでいただきたい。

Comment

Back